在宅・訪問看護デビューの思い出

私の在宅・訪問看護デビューは、
診療所に併設された訪問看護ステーションでした。

就職して間もない頃、院長の往診へ同行しました。

病院での勤務経験しかない私にとっては、
どんなことをするのかわからず、
ただ同行して指示されたことをするしかないと思っていました。

訪問先は、かなり古い戸建ての家。
壁に隙間がたくさんあり、床もブヨブヨ浮いてました。
野良猫なのか猫が隙間から出入りして、ビックリ!

患者さんは、残胃がんでやせ細り、寝たきりの高齢女性。
布団に横になっていましたが、動くこともままならない状態。
息子さんと同居のようですが、息子さんは訪問時不在でした。

患者さんは、問いかけに反応も乏しく、
また何日も入浴などもしていないようで、
皮膚は脱水と栄養不足でガサガサでした。

院長が聴診・問診をして、
血圧測定などの測定と採血のオーダーが出ました。

患者さんは、脱水が強かったので採血も思うようにできず。
点滴もトライしても、血管確保ができなかったと思います。

結局何もできないまま終了。
翌日出勤した時、
その患者さんはその後、亡くなったと聞きました。

 

病院で入院患者さんを当たり前で診ていましたが、
在宅で瀕死の状態の患者さんを目の当たりにして、
病院とは違う「ちょっと異次元な場所」だと感じました。

自分の想像を超えたケースの初・往診同行でビックリしました。
病院とは違う環境と看護師の役割の違いに
しばらく戸惑いもありました。

しかし、先輩の訪問看護師と同行訪問して経験を重ねていくと
患者さんのフィールドとペースに合わせてケアをする楽しさを知り、
「訪問看護のやりがい」を強く感じました。

1日の訪問件数が5件になってくると、時間との戦いとなり、
訪問時間と移動時間も含めて計算して行動しなくてはなりません。
時計を見て、半ば途中でも会話を切り上げる心苦しさがツラかった。

もっとじっくりと患者さんやご家族と関わりたいと思うようになり、
何か他の形で訪問看護の仕事ができないだろうか?と考えるようになりました。

 

病院と在宅の差、それは看護師としての立ち位置が変わります。
医療者にとって病院がホーム、在宅はアウェーのフィールドでの仕事です。

だいぶ訪問看護など介護系の看護師の仕事は増えましたが、
まだまだ病院勤務がメジャーな現状。
病院勤務経験だけの看護師が在宅系の仕事へ転職すると、
多くの看護師は戸惑うと思います。

 

近年看護学生も地域包括支援センターの実習も1日セットされるようになりました。
私は病院勤務時代より、臨床実習担当者としてカンファレンスなどに参加して、
看護学生さんといろいろ現場の話をする機会がありました。

看護師としての役割は、病院だけが全てではない。
どこへ行っても経験を積むことが大切。
助産師や認定看護師などのスペシャリストになるのも良いけど、
私は「在宅看護も楽しいよ」と良く話をしていました。

私はそれぞれ自分の職場で看護師の役割について、いろいろな思い出があり、
様々な現場で患者さんや先輩看護師、他の在宅介護スタッフから多くの事を学びました。

看護師という仕事は、決して自分ひとりの力だけでできるものではなく、
多くの人と関わってできる仕事。
そこで学んだ経験が積み重なり、今の自分ができたと思います。