忘れられない患者さんとのエピソード

病院ではない、在宅での看取りの経験から

先日たまたま、看護師の転職サイトのメルマガで、
「忘れられない患者さんとのエピソード」という体験談募集がありました。

そこで
私が在宅看取りを専門的に行う、訪問看護ステーション時代に出会った、
患者Aさんとの経験を書いて応募したところ、掲載されました。

掲載されたメルマガサイトは、こちら
https://nurseful.jp/career/article/magazine/忘れられない患者さんとのエピソード1
「住み慣れた自宅で最期まで自分らしく過ごすこと」

Aさんは、私と同じ年代で重複障がい者。
舌がんで、がんで大きくなった舌で閉口できない、
またがんが右の首のリンパ節から拡大し、皮膚表面に大きく潰瘍を作り、
皮膚から浸出液が多く出ていました。

そんな外見から、ちょっと外出はしたくなくなると思いがちですが、
Aさんは違いました。
平日は地域活動ホーム、土曜日はヘルパーさんとの外出。
自宅にいるときは、父親と多くのヘルパーさん達に支えられ、
障がいとがんがあっても、充実した在宅生活を送っていました。

Aさんは何よりも「自分がしたいことを楽しむ」それが一番。
おしゃれや同じ地域活動ホームに通所している彼に会えることを
本当に楽しみ・生きがいに、最期まで生活をされていました。

生きる力は「自分がしたいことを楽しむ」ことから生まれる

病気をなどを抱えてしまうと、つい後ろ向きなココロになりがち。
ココロが後ろばかり向いていても、身体もそれにつられて悪くなってしまう。
それが更なる苦痛を増す、悪循環に陥ってしまうような気がします。

私は、Aさんがネイル雑誌を購読するほどのネイル好きだと知り、
訪問時にAさんの手持ちのマニキュアを使って、ネイルをしてあげました。
Aさんは、ネイルされた手を見て、本当に喜ばれていました。

誰でもキレイになった自分を見てうれしくなり、テンションは上がる。
病状が悪くなっていたとしても、
キレイになった自分を見ることにより、
笑顔が出て生きる力がアップするのです。

薬などの医療技術だけでは、それはなかなかできません。
本当にその人がしたい、やりたいことをすることが、
「笑顔と生きる力を作り出す」ことになるのです。

その経験をさせてもらったのが、Aさんとの出会い。
その後も、がんの方をネイルやマッサージなどで、
生きる力やツラさを和らげることができるという、
貴重な経験を重ねることになりました。

私の原点「笑顔と生きる力を生み出すケア」を提供したい

今回起業し、フリーの訪問看護師として活動を始めた、
大きなきっかけになったのは、Aさんとの出会いからが始まり。

普通の訪問看護だけではできない、
「ちょっとでも生きる力・笑顔を生み出すケア」を私は提供したい。
そんな思いからが、私の起業の原点。

どんなことをしても、誰しも最期はやってきます。
苦しい・ツライだけの最期の日々だけではなく、
ちょっとでも笑顔で過ごせた時間ができることは、
ご本人だけではなく、介護されるご家族の癒しになると思います。

死は本当ツライもの。
でもその笑顔で過ごせた時間・思い出が、
残されたご家族のツラさを癒すことになり、
生きる力となるのです。

死が非日常であるけど、在宅看取りが当たり前になってくるこれからの時代。
死はツラく・恐いものであっても、誰しも直面する問題。
避けることはできない、大きな問題です。

今から自分や家族の最期をどうするか?
余裕のあるうちに、少しずつ考えておくことをお勧めします。

いざその場に直面すると、次から次へとツライ現実にぶつかり、
じっくり考えることができないからです。
私も明日かもしれない自分や家族の最期、あまり考えたくないことですけど、
どうするか少しずつ考えていってます。

 

お問い合わせ・ご相談は、お気軽に

ちょっとしたことでも、お気軽にご相談ください。