ありのままの最期

昨夜、たまたまTVをつけたら、
「ありのままの最期」~末期がんになった看取りの医師 死までの450日~
という番組をやってました。
思わず最後まで、じっと見続けてしまいました。

看取りのプロ医師の最期、本当にありのまま

医師であり、僧侶でもある田中雅博(享年70歳)さんは、
がん治療の最先端の国立がんセンターで医師として働いていたが、
がんの治療は、薬や手術で治しきれないことを悟り、
まだホスピスのない時代に緩和ケアの必要性を感じたそう。

そこで、1990年に栃木県の実家のお寺の住職として、
緩和ケア付きの診療所を設立。

そこでは、毎月1回がん患者が集い語らう場が設けられ、
がんと診断・治療の中で感じる死の恐怖を患者たちが語り、
田中雅博さんや参加者が傾聴し、
語った人も心の整理をするという場なのだそうです。

田中雅博さんは、医師として住職として、
1,000人ほどのがん患者さんの声を聴いてきました。

医師として、看取ってきた患者さんの経験から、
「死に方を学び、死の恐怖はない」とのことだった。

看取りのプロとして活躍していたのだが、
田中雅博さん自身も、すい臓がんの末期と診断され、
TVで自身の最期~葬儀までの撮影を許可されたのだそう。

田中雅博さんの妻も医師であり、僧侶であり、
また娘さんも医師であったので、本人の医師を尊重された結果、
番組では、田中雅博さんが亡くなり、火葬場でお骨になるまでの
本当にありのままの姿が、放映されました。

看取りのプロでも、立場の違う「死の恐怖」に直面する

末期がんの診断後から、450日という長い期間に密着し、
田中雅博さんは、がん患者の素直な心の言葉を聞いてもらえること(傾聴)が、
死の恐怖を感じている人にとってありがたいことと語ってました。

しかし、病状が進行していくと、せん妄状態になり、
ところどころわからなくなる不安に耐えるツラさから、
「寝かせてほしい(薬で鎮静してほしい)」と懇願する姿は、
本当に見ていて、ツラいものだった。

同じ診療所で、医師でもあり僧侶であり、看取りのプロである妻が、
なるべく鎮静をかけず「生きることを全うしてほしい気持ち」から、
鎮静剤の投与を一時中止し、起立させたり、経口摂取を勧めたりする姿は、
「少しでも良い状態にしたい」という、率直な家族の気持ちの現れです。

そして、田中雅博さん自身が、
最期の延命処置は拒否(DNR)という意思表示をされていたが、
妻は、「実は最期に心臓マッサージや心臓に注射をしてしまった。
本人からきっと怒られるだろう」と語っていたのが印象的でした。

いくら看取りのプロと言われても、立場が変わると「ひとりの人間」になる。
数多くの「死の恐怖」を学んでいたとしても、
「死の恐怖」を完全に拭い去ることは、本当に難しいことだと思いました。

完全に「死の恐怖」を拭い去ることはできないけれど、
そのツラい気持ちを受け止めてくれる人の存在は大きいと思います。
誰かそばにいてもらえることが、癒しになるのです。

死の話は、タブーの日本。でもいつしか、誰でも死を迎える

今回の番組で「ありのままの最期」を見せてくださった、
田中雅博さんとご家族の勇気に感謝したいと思います。

日本では「死はタブー」とされている風潮があるけども、
誰だって、いつかは死を迎えるのです。
自分自身や大切な家族にだって、死がやってきます。

私は訪問看護ステーションに勤務していた時、
実際にがんの方の看取りを経験しました。

その頃から、遠い場所にあった死が、すごく身近な事。
決して他人事ではないと思えるようになりました。

今回の番組を見て、改めて
自分・家族が、死に直面した時、
死の恐怖を感じ、混乱するだろうと思います。

でも、できるのならば、
その「死の恐怖」を家族や看取りのプロの方など、
寄り添ってくれて、ツラさをシェアをしてくれる人がいれば、
積極的にシェアをしていきたいと思いました。

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