看護師の労働環境
4月になり、新社会人の入職や人事異動など、
職場の環境が大きく変わる時期です。
私の新人看護師時代
20数年前、私も新人看護師として社会人としてスタートを切りました。
3日程度院内のシステム研修を受け、配属の病棟へ。
そこから新人看護師と言えども、いち戦力として働くことになりました。
仕事の流れが上手くつかめない状態でも、三交替の勤務へ。
決められたシフトで自分のスケジュールが決まってしまい、
ただただ、勤務をこなすことで精一杯。
私がはじめて勤務した病院は、循環器の専門病院。
看護師が医師とほぼ対等に話をしたり、
医師の事前オーダーにより、看護師だけで処置をするなど、
当時ではまだ珍しい、看護師が積極的に治療に参加する病院でした。
心筋梗塞や狭心症患者のリハビリで、
心電図変化を看護師がチェックするのも当たり前。
先輩看護師は、リハビリ前後の心電図を見てすぐ判断できたり、
急変時でもテキパキと処置ができる姿がカッコよかった。
新人の私は何をするにも時間がかかってしまい、失敗もありました。
プリセプターとして、1年上の先輩が私の担当でした。
先輩は時には厳しく、でも温かく見守ってもらいながら、
看護師として育ててもらいました。
私が看護師として本当に育ててもらったのは、
ご縁で出会った多くの患者さん達です。
新人の時は、採血や点滴など様々な処置やケアが上手くできず、
謝りつつ、何度も挑戦させてもらいました。
看護師は2年目になるとプリセプターとして、
新人指導係に任命されます。
自分の担当業務がやっとこなせる状態になったと思ったら、です。
看護師の病院勤務は過酷そのもの
そして経験5年目くらいになると、主任試験の声がかかり始めます。
その頃には周りの同期はどんどん退職しており、
残っている者は完全に病棟の柱となっているのです。
私は病院勤務を7年ほどしましたが、
ほとんど有給休暇を取った記憶がありません。
病院へ看護師として入職しても、有休休暇の存在すら知らず。
三交替の勤務を回すシフトが、病棟の人員自体がギリギリのことが多く、
職場自体に有給休暇を取るという環境でもなかった。
三交替勤務であれば、日勤で朝~夕方まで働き、翌日が深夜勤務となると、
その夜中の0時から朝の9時までの仕事となります。
「日勤で残業なし」は「ほぼ無かった」ので、日勤と深夜勤務の間が4~5時間。
帰宅して食事して仮眠がちょっとでも取れれば良い方。
深夜勤務に入ってもコール対応で、休憩もままならないことも多い。
病棟により差がありますが、仮眠も取れればラッキーという感じ。
深夜明けて次の日が準夜勤だと1日半程度の時間ができるのですが、
半分以上は睡眠時間で消えてしまいます。
各勤務帯の組み合わせで時間のやりくりはできますが、
本当に自由な時間は意外と少ないものです。
近年は三交替勤務だと負担が大きいということや、
夜勤を回す人員確保の問題から、二交替勤務体制が多くなりました。
私は二交替勤務の経験がないのですが、
二交替勤務だとひとつの夜勤務時間が長いものの、
夜勤の回数自体が減る分だけラクだと同期の看護師は言ってました。
若い頃は、夜勤明けで遊びに行ったりする元気はあるのですが、
30代になると夜勤がキツくなり、夜勤明けは帰宅と同時に寝てしまう感じ。
人により夜勤でも、さほどツラくないという人もいましたが、
キャリアを重ねる程、少数派になります。
病棟勤務者が結婚して妊娠すると、多少夜勤免除の融通は利いても、
お腹に負担がかかる仕事までの免除は難しいため、
妊婦の看護師は肩身が狭そうでした。
結局無理をしてしまい、切迫流産で休むことも珍しくありませんでした。
看護師という仕事への責任感や「やりがい」優先になるのをいいことにし、
雇用主である病院は働くだけ働かせるようなシステムが
当たり前だったような気がします。
ただしすべての病院が、有給休暇が取れないということではありません。
私が調査研究した病院では、看護師の離職率の低い病院もちゃんとありました。
看護師の仕事のやりがいや労働環境が良いと職場の満足度が高く、離職率も低いのです。
長時間の残業や有給休暇が使えなくて当たり前?
最近は大手の有名企業が長時間残業を常態化させていて、
労働者の過労死や自殺などが社会問題になりました。
労働基準法違反は、日本のどこの業界でもあるようです。
有給休暇などの休暇制度を
「利用できない職場環境が当たり前」ということは恐ろしい。
労働者としての権利の行使ができず、
有給休暇は捨てて、ただただシフトで決められた勤務をこなす。
それが当たり前と私は思いこんでいました。
しかし私のダンナは、
「年度末までには、きちんと有給休暇を消化するのが当然のこと」と言い、
私にとっては、カルチャーショック!でした。
福祉の業界に転職したら、
有給休暇はもちろん、産休・育休が普通に取れる環境でした。
私は本来のあるべき労働環境を知りました。
そこで私はしっかり産休・育休をとらせてもらい、
子育て世代に理解のある職場に巡り合えました。
やはり職場内で職員同士お互いを尊重し、理解ができないと、
働きやすい職場環境にはならない気がします。
私は今まで正職員として、長年いろいろな職場で働いてきました。
本当に労働者のために職場環境を整えられているところは、
あまりなかったような気がします。
これから労働者の数が少子化の影響で年々減っていくことが明らかで、
働ける・働きたい人が、ちゃんと継続して働けるような会社や社会であることが
重要であると思います。
そうでないと、さらなる労働者不足となり、
日本という国が成り立たないことになるのですから。
「看護師としてやりたいこと」に、こだわった私
私はずっと「看護師として働くこと」を生きがいとしてきました。
転職を重ね「雇われて働くことの疑問」を持つようになり、
「自分のしたい仕事をする」そこに行きついた今、
いよいよ独立開業のスタートラインに立つところまで来ました。
いかに自分の労働環境を維持できるか?
今までやったことのない経理などの事務仕事も含め、
雇われていれば、職員が分担してやることを
全て自分でやらなくてはなりません。
課題は山積みです。
でもフリーランスとなり、
「自分のやりたいことをすること」に、
ちょっとワクワクしています。
これからの開業の道が険しいのは確実です。
でも地道に歩いて行こうと思います。
お問い合わせ・ご相談は、お気軽に

ちょっとしたことでも、お気軽にご相談ください。