たかが、足首の捻挫(ねんざ)されど捻挫

ヒール靴で起こしやすい、内反捻挫

多くの人が、足首の捻挫(ねんざ)を
経験していると思います。

スポーツをしている人に限らず、
数センチのパンプスを履いている時、
路肩の数センチの段差を踏み外しなどで、起きやすいです。

歩いていて、突然足首の外果(外くるぶし)を地面に強打。
足首の外側を痛めて、歩くのが難しくなる。

これが「内反捻挫(ないはんねんざ)」と言います。
捻挫の8割が、内反捻挫なのだそうです。

 

足首の痛みがある時期は、湿布を貼って歩くのを控えますが、
完全に痛みが治まるのを待たずに、
サポーターをつけて普段の生活に戻ってました。

「たかが、捻挫(ねんざ)」だから、
整形外科を受診しない人が多いでしょう。

でも実は、きちんと療養・アフターケアをした方が、
後々足首にとっては良いのです。

 

足首の捻挫は、靱帯線維が切れている「靭帯損傷」

足首の捻挫は、
「関節をちょっとひねっただけ」と軽く思いがち。

捻挫は、足首の靱帯がゴムのように伸び縮んて、
すぐ元に戻るのではありません。

あまり知られていませんが、靱帯損傷です。
靱帯損傷の程度で、重症度が違います。

 

足首は細かい骨と筋肉、靱帯で関節を構成しています。

足首は元々の構造上、
2本の脛の骨の大きさや靱帯バランスが不安定になりやすく、
内反捻挫を起こしやすいのです。

 

捻挫で靱帯線維が切れていく(イメージ)

靱帯は、細い線維が束状になったもの。
骨と骨をつないで、関節の動きを作っています。

捻挫では、過度な関節の力によって
束状になった細かいひも状線維が、少しずつ切れている状態。

捻挫の程度によって、靱帯線維が切れる程度にも差があり、
重度になると靱帯の再建手術が必要になることもあるのです。

そもそも、一度切れてしまった靱帯は、
自然に元のように再生しません。

そのため、切れた靱帯は強度が落ちてしまい、
関節の動きが緩く不安定になってしまいます。

 

足首の捻挫をした後、
切れてしまった靱帯の代わりとなる周囲の筋肉など組織による、
靱帯の不安定な動きのサポートが必要です。

しかしながら、実際は多くのケースでは、
捻挫後の周囲の筋肉強化等のリハビリができていません。

「捻挫とは、靭帯損傷」という、認識が薄いために、
中途半端な療養となっているのだと思います。

 

 

再び捻挫をしないために、アフターケアが大切

捻挫後のアフターケアができていないために、
再度捻挫を繰り返すケースが増えています。

それは、受傷前より足首が不安定な状態になっており、
足首をサポートする力が不十分のために
再び捻挫をしてしまうケースが8割あるのです。

これが捻挫の後遺症、慢性足関節不安定性と言います。

慢性足関節不安定性=捻挫グセにしないためには、
  ①一定期間の患部を休ませて、
    徐々にサポーターを装着して足首関節の負担を減らしながら活動を戻す。

  ②腓骨筋の強化と足首のバランスをとる練習を行う

ことが必要なのです。

 

弱くなってしまった足首を構成する筋肉等で、
不安定さを少しでもカバーできるよう、ケアやトレーニングが必要です。

 

捻挫をしたら、どうケアをすべき?

足首の捻挫をしてしまった・・。
まずは、RICE療法で対処しましょう。

受傷直後より、足首が腫れて痛みが生じます。
RICE療法で炎症症状を抑えます。

RICE療法とは、
 Rest(安静) 
 Ice(冷却) 
 Compression(圧迫) 
 Elevation(挙上)      のこと。

受傷直後より冷やすことで、その後の腫れの軽減だけでなく、
機能回復に良いとも言われてます。

氷水が入ったビニール袋を患部に当てるのですが、
感覚がなくなる程の冷やしすぎにはご注意を。

受傷後に足を下げていると腫れが悪化しやすいので、
クッションや座布団などを利用して、
足部はなるべく高い位置を保つようにします。

 

これに加えて、圧迫することで、
腫れやむくみを軽減することもできるのです。

圧迫は、弾性包帯で「趾(あしゆび)~ひざより下」を巻きます
足首を90°に固定して、つま先からひざに向けて巻き上げます。 

<注意点>
   ・圧迫が強すぎると血行を妨げるので、圧迫を強すぎないように注意する。
 ・可能な範囲で関節の運動を行い、循環を改善させる。
   →趾を動かすと、足のむくみも改善しやすい

捻挫をはじめ、関節痛などでは、
急性期は、一定期間患部を安静にすることが必要です。

でも、患部以外の趾や他の関節など動かすことは、
腫れやむくみなど、血流改善にもつながります。

患部は冷やして安静にしている時期でも、
早期より痛みが出ないよう注意しつつ、
患部以外の趾や他の関節運動は、積極的に行うと回復も早いです。

 

 

焦らずしっかり回復させてから、復帰後のケアの注意点

捻挫はしっかり治療をしないと、痛みや違和感が残り、
運動パフォーマンスの低下につながってしまいます。

靱帯損傷の治療過程
 受傷後1~3週 血管や線維芽細胞の増殖 コラーゲンが作られる
    4~8週 コラーゲンの成熟が起こり続ける

受傷後8週(2か月)程度は、
早期復帰を我慢して治療を優先。

筋力アップなどの基礎練習を中心に行った方が良いそうなのです。

 

「せっかくレギュラーとして定着したのに、
ケガで休んでしまうと、メンバーから外されてしまう・・」 など、
しっかり療養をせず、急いで復帰をしてしまいがち。

痛みが落ち着いたら、
普段の生活やスポーツを再開していることが多いこと。

でも2か月程度は、靱帯の回復治療過程を考え、
無理はしない方が良さそうです。

それは、
捻挫受傷者の80%以上が再受傷があり、
30∼40%に機能低下が起きるから。

きちんと足首の機能を回復しないまま、
スポーツで足を多用すると骨に負担がかかり、
骨が変形して変形性足関節症になります。

変形性足関節症になると、足首の安定性の更なる低下や、
捻挫の再受傷リスクが高まる悪循環に陥ります。
場合によっては、手術が必要になることも。

 

焦らず無理をせず、足首の状態を認識して、
少しずつ身体を動かしましょう。

スポーツ時は、サポーターやテーピングを利用をして、
なるべく足首への負担を軽減し、再度のケガをしないよう注意が必要。

しばらくは、
運動後は足首に軽い炎症が起きてしまいやすいもの。

運動後や足を酷使した日は、
しっかり足を氷水を入れた袋で、患部を冷やしましょう。

それも、足首の大切なメンテナンスです。

足首に痛みや違和感があったら無理をしないで、
RICE療法へ立ち返り、足首のケアをしましょう。

捻挫は軽いケガと思いがちですが、
人生の長い目で見れば、
あまり甘く見ない方がいいと思います。

たかが捻挫、されど捻挫なので・・。

 

 

 

 

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